外耳炎
★ 外耳炎とは?
外耳炎とは鼓膜より外側の耳道(外耳)におこる炎症のことです。耳の中に正常でもいる細菌やカビが何らかの理由で増えすぎることで、耳垢の増加、炎症によるかゆみや痛みを引き起こします。慢性化すると耳道の皮膚が分厚く変形が起こったり、耳の穴が細くなったりしてしまい、耳道を切除する手術が必要になることもあるので、早めの対処が大切です。
★ 外耳炎にはつぎの3つの要素が関わっています。
1) 外耳炎になりやすくなる素因: 生まれつき耳道が狭い、耳毛が多い、垂れ耳、耳垢の分泌が多い、基礎疾患がある(先天性角化症、特発性脂漏症)、夏の高温多湿な環境
2) 外耳炎の直接的な原因: ミミヒゼンダニの感染、ニキビダニの感染、アレルギー(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)、植物などの異物が入ることや腫瘍の存在、綿棒で強くこするなどの物理的刺激、免疫介在性疾患
3) 外耳炎をより悪化させる悪化因子: 正常でも存在するブドウ球菌や、マラセチアというカビの異常増殖、耳道の形の変化、中耳の異常
★ 治療
直接的な原因が分かっているときにはその治療をします。例えば子犬に多い耳ダニの感染がある場合は駆虫薬を数回使います。駆虫薬は卵には効かないので孵化するまで何度か実施し、ダニがいなくなったことを確認します。細菌やカビが増殖してしまっているときには、耳の洗浄液や点耳薬を処方します。おうちで点耳が難しい場合は1度入れてあげると長く効くタイプのお薬もありますのでご相談下さい。痛みがある場合は洗浄はせずにお薬だけ入れてあげます。炎症が強い場合や、鼓膜へのダメージが考えられるときには洗浄はせず、消炎剤や抗生剤などの飲み薬を使います。治療してもしつこくぶり返す外耳炎にはアレルギーなど根底に病気がかくれていることがあるのでご相談ください。
★ 予防
お薬を使っても耳の中の細菌やカビが0になることはないため、再発を完全に防ぐことはできませんが、普段から耳の中を定期的に洗浄することで、耳の環境を整えてあげると多少、外耳炎の再発回数を減少させるかもしれません。耳の洗浄に慣れておくといざ治療が必要になったときにストレスなく治療できるので小さい時から練習しましょう!
★ 耳洗浄の仕方
- Step1 耳の穴の入り口まで洗浄液を入れます。
- Step2 縦に走る耳道をもみもみとマッサージすると奥から汚れが洗い流されて表面に浮いてくるので、コットンやティッシュで指の届く範囲でふきとります。(マッサージすると洗浄液がこぼれてくるのでティッシュをあてながらやりましょう。)
- Step3 これを汚れが無くなるまで繰り返します。綿棒は汚れを押し込んでしまったり、耳道を傷つける可能性があるのでお家では使わない方がいいでしょう。奥に残った液体はワンちゃんがブルブルっと頭を振ると自然に出てくるので心配しなくて大丈夫です。
耳に直接液体が入ってくることにびっくりしてしまうワンちゃんは、、、、、
- Step1 コットンにひたひたにしみこませて、耳の穴にポンっといれます。
- Step2 そのまま耳道をもみもみして、コットンにしみこんでいた洗浄液を耳の穴へ移します。
- Step3 コットンを取り出してマッサージしていると耳の奥にある耳垢がふやけて上に上がってくるので、それをティッシュでふき取ってあげます。